詳しい案内(ヤマザクラ )
桜の名所で名高い奈良県の吉野の代表桜がヤマザクラであり、和歌にも数多く詠まれています。明治時代になってソメイヨシノが広まる前は、多くの日本人は、「桜」と言えば「ヤマザクラ」を連想していました。
ヤマザクラはサクラの中では寿命が長く、ときに樹高30mを超える大木になります。西日本では『一本桜』として長く守り継がれてきた古木となっている桜にヤマザクラも沢山あります。
同一地域の個体群内でも個体変異が多く、開花時期、花つき、葉と花の開く時期、花の色の濃淡と新芽の色、樹の形など様々な変異があります。
広島市の江波山公園自生しているヤマザクラは、花びらが5枚~13枚と多様で、満開時には淡いピンク色の花がびっしりと咲き、また、縦長に開く八重咲きとは異なり、水平に開花し、枝と花を結ぶ花梗も通常のやまざくらの倍の長さがあります。
このヤマザクラは、昔から地元の人々たちのあいだで「変わったさくらがある」と言われていましたが、平成6年4月京都の桜守である、第16代佐野藤右衛門(さの とうえもん)氏による鑑定の結果、非常に特異な花で、過去の文献にもなく、全国でも類を見ない珍しい個体であることがわかり、「ヒロシマ エバヤマザクラ」と命名されました。平成8年には、市の天然記念物の指定を受けています。
ヒロシマエバヤマサクラは華麗な栽培品種として穂接ぎ(枝先の穂の部分を別の台木に接ぎ木する)で増やし、各地でそのクローンが育てられています。
ヤマザクラお栽培品種には、ヒロシマエバヤマザクラのように自生しているヤマザクラのなかから優れてた特徴を持ったものを発見し、それを栽培品種の原木として増やしたものや、他のサクラとの交配し、選抜育種してつくられた栽培品種がたくさんあります。
科 名 : バラ科
属 名 : サクラ属
分 布 : 日本の本州・四国・九州、台湾、韓国、北朝鮮
落葉/高木
〈コラムの案内〉
サクラの起源につては諸説があり定説はありませんが、遠く南の国に起源をもつとする有力な説を基に、サクラが日本まで辿ってきたであろう道筋をコラムにまとめてみました。