「チャレンジ!着衣泳」が開催されました
7月22日(月)、ひろしんビッグウェーブでスポーツ体験事業「チャレンジ!着衣泳」が開催されました。この事業では、牛田公民館にも協力していただき、多くの方々にご参加いただきました。
まずは座学。
日本は水難事故による死亡者数の割合が、先進国の中ではダントツ1位。水難事故の件数ではそうでもないのに、なぜでしょうか。
先生がオランダを例に挙げて教えてくれました。
オランダは街中に水路が走っていて、毎年水路に落ちる事故が絶えないそうです。
ここで日本だったら、「○○川で事故があった、では落ちないように柵を作ろう」となります。
オランダだったら、「○○川で事故があった、では落ちても溺れないように着衣泳を学ぼう」となるそうです。
文化や価値観の違いもあるかもしれませんが、柵を作っても注意を呼び掛けても、日本で毎年のように水難事故による死者が出ているのは事実です。
また、学校のプールで着衣泳を練習しようにも足が底についてしまい、本当に溺れた時を想定した練習をするのが難しい、というのもあります。
だからこそ水深の深いプールで着衣泳を学ぼう、ということで、ひろしんビッグウェーブでは毎年着衣泳の体験事業が開催されています。
講義が終わったら準備運動。
できるだけ普段と同じ状況で、ということで、服だけでなく靴も履いてもらっています。
靴によって、水に浮くものと沈むものとがあるので、自分の靴がどっちなのか知っておくだけでも、いざという時の助けになります。
まずは先生がお手本を見せてくれます。
プールに入って、大の字になって浮いてみましょう。
入りにくいですよね。分かります。
分かりますけど、水面を眺めていても始まりません。
覚悟を決めて入りましょう。
一度びしょ濡れになってしまえば、それ以降は簡単です。
溺れた時は「ういてまて」これが基本です。
溺れている人、と言われて、水面でバシャバシャしながら「助けてー!」と叫んでいる人をイメージしませんか?
本当に溺れている人は多くの場合、そんなに騒がしくないそうです。
状況によっては救助が来るまで何十分、何時間かかる場合もあるでしょう。その間ずっと立ち泳ぎしたまま叫び続ける…まぁ無理ですよね。
次はペットボトルやビニール袋を使って浮いてみます。
「常に呼吸し続けられる状態」でいることが大切です。
そうは言っても、溺れたところにちょうどペットボトルが落ちていた、という都合のいい偶然もなかなかありません。
要救助者に向けてペットボトルを投げる練習もします。
そんな練習いる?と思った人へ。空のペットボトルを投げると…
空のペットボトルは軽いので、空気抵抗を受けてあまり飛ばないのです。
いざという時には水や土などを少しだけ入れて、重くしたペットボトルを投げてください。
空のものより、遠くへ投げられるはずです。
浮き具を投げる時、ロープがあればなお良いです。浮き具にロープをくくりつけて、要救助者を引っ張り上げます。
上の画像のように、ロープ付き浮き具を要救助者より遠くへ投げ、ロープを要救助者の肩に引っ掛けるように手繰り寄せて確実に浮き具をつかんでもらいます。
溺れている人に「投げたけど届かなかったから、そこまで泳いでね~」というのも厳しい話ですからね。
また、ロープがなければ服を結んでロープ代わりにする方法もあります。
次は着ている服を使って浮き具を作る方法。
上着で浮く方法、ズボンで浮く方法、色んなやり方があります。
しかし、これを水中でしなければなりません。靴を脱いで濡れたズボンを脱いで、立ち泳ぎしながら空気を含ませて結び目を作って…中々に大変です。
ぜひ一度体験していただきたいですね。
次はエレメンタリーバックストローク。
簡単に言えば仰向けの平泳ぎです。「呼吸し続けられる」のが特徴です。
ビート板を使ってエレメンタリーバックストロークの練習。
本当の意味での本番は、唐突にやって来て、服を着ている、準備運動できない、ゴーグル無し、波や水流がある、漂流物や泥が混じっている、ケガをしているかもしれない等々、様々な悪条件が加わります。
安全な場所で練習できるときに練習するのも大事なことです。
溺れている人を助けに行くときの飛び込み方。
頭から飛びこむと、川底に石があったりしたら危険ですし、海水や泥水の中で目を開けるのも辛いです。顔を水につけないように、足から飛び込みましょう。
足を前後に広げて、両手を横に広げて水面を叩くように。
これで、飛び込んだ時に顔が水中に沈まずに飛び込めます。
要救助者の運び方。
まず気道を確保します。
正面から行くと、要救助者は必死にしがみついてきます。そうなると、救助者まで溺れてしまう可能性があるので、助けに行くなら後ろから。
要救助者を仰向けに、気道を確保したまま運びましょう。
そして最後に、高いところから落ちた時の衝撃がどれくらいかを体験してもらいます。
釣りをしていて防波堤から落ちた、大波にのまれて船から放り出された、ちょっと田んぼの様子見に行ってくる!と言って川に…など、様々な状況が想定されます。
あくまでも着衣泳であって、高飛び込みではないのですが…高飛び込みも楽しいですよね。
高飛び込みの場合は、先ほどのように足を広げての着水は危険です。
着水の衝撃で股関節を痛めてしまう恐れがあります。
夏休みも始まり、暑い日が続き、海や川に遊びに行く方も多いでしょう。
水場に行くときには、何よりも安全を第一に楽しんでいただきたいと思います。
今回の着衣泳で身に着けた知識や技術を、いざという時に役立ててください。
参加者の皆様、お疲れ様でした!